英語非公用語のアジアの国では正確な文法や流暢さより「単語+シンプルに伝える力」が重要 =非母語話者はネイティブ人口の2倍
"2018年の英語話者人口は11億2100万人。うちネイティブは3億7800万人で、非ネイティブが7億4300万人。"(出典 Ethnologue 21st edition)
英語を学んでいる人の中には、ネィティブのようなキレイな発音や流暢さに憧れたり目標にしたりしている人も多いと思います。
正しい発音の重要性は、これまでも強調してきましたし、英語圏で留学や駐在・出張する場合は、一発で相手に通じる発音と瞬発力(反射能力)が大切であることは言うまでもありません。
ただ、これは英語圏の英語ネイティブやニアネイティブを相手と想定してのことでして、非英語圏のアジアの国々で、アメリカ式英語でたたみみかけても、非ネイティブの相手と上手くコミュニケーションできるとは限りません。
例えば、今回ベトナムのハノイへ旅行に来たのですが、米語で話す私よりも、英語がペラペラではないけど・文法的ミスが多いけれどリーディングとリスニングがある程度できる(Chinglish)妻の方が現地のベトナム人とコミュニケーションに成功していたということが幾度とありました。
旅行中ですのでビジネスシーンと違って、話す相手はホテルの係員や受付、ウェイター、店のスタッフ、タクシードライバーなどが中心、生活場面(contexts)なのであらたまったスタイル(register; formality level)ではありません。
ですから、相手の英語力も「仕事上のやり取りはできる」がそれ以外の複雑な内容は対処が難しいという感じでした。
特に印象的だったのが、ちょっと高級ホテルのレストランのウェイトレスの女の子でして、彼女は大学生でインターンらしく、案内を丁寧にしてくれたのですが、あいさつからメニューの説明まで一連のセリフをすべて丸暗記していたようでした。いうべきことは流暢に話せるのですが、雑談で色々話した時に、スムーズに表現できない感じがありました。
これはいわゆる特殊目的の英語(ESP; English for Specific Purposes)といわれるものです。
例えば、ホテルの受付係はチェックイン・アウトのほか食事時間の案内、タクシーの手配など全般業務を担当しますので、十分な英語能力があり、マッサージの予約で手違いがあったことを丁寧に気づかってくれたりもしました。
一方、レストランのウェイターは、ローカルな店に行けば行くほど英語での会話は限定的(ほぼゼロ)で、究極的にはセンテンスで言わずに、単語だけで言った方が通じました
トイレに行きたい時:
(1) ❌Where is the bathroom?
(2) ⭕Toilet where?
1のセンテンスに手を洗うジェスチャーをつけたら、手だけしか洗えない文字通り「お手洗い」に案内してくれました。
今回の経験で、文法的に正しい流暢な英語よりも、シンプルな単語(content words)で伝えることが大切だということをを身をもって学びました。
みなさんも非英語圏のベトナムのようなアジアの国に行かれる場合は、「シンプルに伝わる英語」でコミュニケーションされることをおすすめします。